フロントランナーインタビュー

INTERVIEW
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株式会社 Free Spirit Japan 代表取締役

安河内 浩之 さん

福岡出身。
株式会社 Free Spirit Japan 代表取締役。
大学在学時より、イベント企画運営、飲食店経営など、多岐に渡り活動。インド バラナシでは、現地の貧しい子供たちのためのフリースクール立ち上げに関わる。2016年夏、中洲川端に日本初IoTデバイスを取り入れたスマートホステル、&AND HOSTEL をオープン。ホステル2店舗目となる THE LIFE HOSTEL & BAR LOUNGE in HAKATA FUKUOKA は、シェアオフィス The Company と隣接。カンボジア プノンペンで、アーバンホテル HOTEL CORDUROY、HOTEL RECORDS も運営。

2019年12月16日

イノベーションを生み出しやすく、アジアに近い福岡。
天神の再開発で、いち地方都市からの脱却を

アジアが近く、イノベーションを生み出しやすい福岡で多国籍多文化の環境を

安河内さんは、福岡のご出身なんですよね。

はい、志免町出身です。中学校まで志免にいて、その後香椎に引っ越し、香椎高校に通っていました。病気を抱えていた事情で浪人して、別府のAPU (立命館アジア太平洋大学) に進学しました。そこから、地域活性化事業に関わり、その延長として独立起業した、という経緯です。

APUに進学されたきっかけは何ですか?

APUは予備校の先生からも勧められていたんですが、友達と一緒に別府に行ったことがあって。その時にAPUに通うスリランカ人が2月の雪が積もっている中を半そで短パンで歩いている光景を見て「なんだ、これは」と。面白そうな大学だと思い、入りました。当時はやっと学年の定員が埋まった感じで、僕は6期生でした。サークルも殆どないような状態でしたね。

その頃から異文化交流には興味をお持ちだったのですか?

そうですね。原体験としては、高橋歩さんという作家の本を読みながら、多国籍多文化の環境で過ごしたいと思っていたり、家族で海外旅行に行ったりしていた、ということがあるかもしれません。APU在籍中も、海外によく行っていて。時間も決めずにお金が尽きたら帰ってきて、「野宿上等」系の一人旅をしていました。

学生の頃から様々な場所を見てこられた中で、今も福岡を拠点にされています。

何もないところに作っていくことが楽しみなので、事業展開としては欧米よりはアジアがいいと思っています。だから、「アジアの玄関口」である福岡からわざわざ離れたくないんです。それに、福岡は30分行ったら山があり、海があり、食べ物は美味しくて安い、という環境ですよね。いつでもニュートラルに戻れる福岡の環境は、イノベーションを生み出しやすいと思っています。もちろん、自分が生まれ育った故郷だということもありますね。

活動のキーワードは、やりたいことと何もない場所を組み合わせる「遊休地の活性化」

色々な活動をされる中で、インドではフリースクールを立ち上げられたと聞いています。

先ほど出た高橋歩さんとは大学の頃に縁があり、色々と一緒に活動してきました。フリースクールもその一つです。2、3階がゲストハウスになっていて、1階はお金がない子供たちが集う学校になっています。そこで、ゲストハウスに泊まった宿泊者が、その子供たちに何かを教える。内容は何でもよくて、例えばダンスや折り紙だったり。もちろん読み書きなども教えるのですが、現地の人が知らない文化に触れられる、という意味合いが大きいです。EXILEのUSAさんもテレビ番組「NEWS ZERO」の取材で来てくれて、ダンスを教えてくれました。

人と人を繋げるコミュニティやイベント作りに尽力されていますが、その原点はどこですか?

昔から学校の文化祭や体育祭など、お祭りが好きで、糸島のサンセットライブにも強い憧れを持っていました。APUに進学した頃は、別府唯一のビーチで生ごみみたいな臭いがしていて。観光地ですし、どうにかしようと思って、ビーチ清掃のイベントをするところから始めました。
イベントって、何もなかったところにいきなり立ち上がって、その翌日には何事もなかったようにまっさらになりますよね。あの切れ味と余韻が好きなんです。

安河内さんの活動の軸になっているキーワードはありますか?

「遊休地の活性化」でしょうか。この建物 (THE LIFE HOSTEL) も1974年にできたぼろビルですが、それをリノベーション・プロデュースしました。やりたいことがあって、場所にはめ込んでいく、組み合わせていく、というイメージです。

ホステル宿泊の目的は様々。グルメとエンタメ要素が福岡の強力な魅力に

ホステルは、インバウンド向けということを前提に始められたのですか?

そうです。APUのように、多文化、多国籍、多言語の環境を作りたいと思っていました。肌の色も宗教も混じり合って、同じ空間にいる人たちが音楽を聴き、飲食やお酒を楽しめる空間が欲しいな、と。もちろん、地元の人が食事で利用されることも多いです。

インバウンドのお客さんは、福岡でどんなふうに行動していますか?

今はみんな事前に調べてから来るので、タクシーに行き先を伝えて、自由に色んなところに行っている印象です。行きたいところを全部自国で調べてきて、「ここ有名?美味しい?」と聞いてきたり。皆さん旅慣れているし、調べ方が玄人っぽいですね。

バックパッカーのお客さんが多いのでしょうか?

そうでもありません。「色んな所に行きたい、楽しみたいのに対し、ホテルは基本的に寝るだけ。そこにお金をかけるよりも、その分おいしいご飯を食べよう」という旅のスタイルの方もいらっしゃいます。6万円の高級寿司を食べて、泊まるのはここ、という人たちもいます。帰ってくる時間も遅いですし、荷物だけ預けてすぐに出ていく人も多いです。

以前の「ホステルといえばバックパッカー」というイメージとは、全然違うんですね。

いわゆるバックパッカーは、欧米の人の方が多いですね。アジアの人たちはスーツケースを持って来ていることが多いです。バッグパッカ―や学生という感じではなく、そういう旅のスタイルを楽しむ人が多いです。みんな、お金は日本人より全然持っていると思います。

福岡を目的に来る人が多いのですか?

いえ、例えば釜山や大分など他の目的地へのインターセクション的に使っている人が多いです。福岡を楽しみに来ている人たちは、基本的にヘビーユーザーです。中にはここに泊まることを目的にルクセンブルクから1年間で4回泊まりに来た人もいて、それは嬉しかったですね。3-4回安い飛行機を乗り継いで、ここに泊まるのが楽しみで来ている、と言っていました。

福岡を目的に来てくれる人を増やすためには、どんなことをアピールするべきでしょうか?

やっぱり、グルメだと思います。県外から来た人からまず出てくるのは、焼き鳥、ごまさば、ラーメンなど食べ物の話。食がコンテンツとして強いから、周りが薄まってしまっている部分もあると思います。
食以外では、エンタテインメントですね。放生会、博多どんたく、博多祇園山笠など、大きなお祭りがある時期は、みんな必ず行っているようです。大相撲九州場所も人気です。それと、福岡ではあんみつ姫とか、東京でいうとロボットレストランなどありますが、大箱でニュース性の高いお店があると、一度行ってみようと思うんじゃないでしょうか。

高層ビル群は大歓迎。古き良きものも残し、個性ある街づくりを天神で

色々な場所に行かれる中で、特に魅力的だった街はどこですか?

一目見て、きれいだなー! と思ったのは街がまるごと世界遺産のスコットランド エジンバラです。真夏に行ったんですが、年中ずっと営業しているクリスマスツリー屋さんなど、街の中に驚きがあって印象的でした。それから、経済成長中のカンボジア プノンペン。超高層ビルがどんどん建ち始めていて、40階建て以上のビルが乱立しています。でも別の方角を見ると屋台がばーっと並んでいて、そのギャップが面白いです。

「驚き」要素も魅力に繋がるのかもしれませんね。
天神には、どんなイメージを持っていますか?

大名や今泉などは個性を持ったお店が多いですが、天神は悪く言うと「色のない商業エリア」だと思います。僕自身、大名には、憧れがあったんですよね。学生のときも週末に志免町から紺屋町まで自転車で行って、月曜日の学校で「昨日は何しよったと?」と聞かれると「いや、大名でさ~」と答えることがちょっとステータスになっている、みたいな。カッコいいお兄さんやお姉さんがたくさんいる場所への憧れのようなものが、原体験になっています。天神は、何かを揃えようとすると便利ですが、その反面「理由もなく行く場所」がないイメージです。大名の方が、人と人とが近い。

天神にこんな場所があったらいいな、と思うものはありますか?

オープンカフェですね。外にお客さんが出ていれば、「賑わっているな」という感覚が街の中にもできますよね。人の集まりが外にあるかないかって大事ですし、人間って実は適度に見られている感覚って気持ちいいんだそうです。それと、海外に行くと看板に方角が書いてあるので感覚を保ちながら行けるんですが、福岡にはそれがありません。例えば、僕も地下街をそんなに歩くことがなく慣れていないので、いちいち立ち止まって、自分が今どっちを向いていて、どの通りにいるのか、考えないといけなくて。そういうストレスがなく、外から来た人もすっと歩けるような街づくりにはなっていないと思います。

再開発が進む中で、「小さな東京になってしまうのではないか」という声も聞きます。

高層ビルがどんどん建つ中でも、その土地の古き良きものが残っていないと東京化していくんじゃないでしょうか。都市の一つになるのではなく、福岡市としてもっと個性が街として出てくるといいな、と思います。例えば屋台などもそうですし、中心地から少し離れた外輪部で、裏に入ると街灯が少し暗くて、僕たちのような商売をしているホステルや飲食店が灯をともしている…みたいな光景ができると、人の流れがどんどん生まれると思います。

今後の天神に、どんなことを期待していますか?

これから色々なビルが一度なくなろうとしていますが、その後が楽しみです。高いビルをがんがん建てて、天神ビッグバンでがんがん上がっていけばいいな、と思っています。福岡は良くも悪くも「地方都市感」があって。それを頭1個抜けた街にできるのは、やっぱり天神なんじゃないでしょうか。

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