フロントランナーインタビュー

INTERVIEW
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進 浩人

株式会社ZOZOテクノロジーズ
ZOZO研究所 福岡
General Manager

進 浩人 さん

博多出身。
2003年に福岡で創業したばかりの株式会社paperboy&co.(現GMOペパボ。以下ペパボ)に入社。2014年3月に取締役を退任するまで、レンタルサーバーの開発やハンドメイド作品の展示販売サービス統括など、幅広く手掛ける。2014年、BASE株式会社取締役COOとなり、2018年1月に退任。2018年4月より、株式会社ZOZOテクノロジーズ ZOZO研究所 福岡のジェネラルマネージャーとして、研究開発の推進や拠点の統括を行う。

2019年08月05日

天神でZOZO研究所が目指すのは、研究者が「どういう生き方がしたいか」で選ぶ拠点のロールモデル

活動の軸は、「福岡のスタートアップへの還元」

進さんは、これまで東京でも活動されていましたが、もともと博多出身なんですよね。

はい、博多出身です。2003年に福岡で創業したばかりのペパボに入社し、そのあと本社が東京に移ることになりました。少ししてから事業も一部移すタイミングで東京に行き、2年ほどいました。また福岡に戻り、ペパボの福岡支社長として数年。そのあとに転職した BASE という会社が東京にあるので、また4年くらい東京に行って、去年の1月に福岡に帰ってきました。

そこでZOZO研究所の登場ですね。

はい。元々福岡に戻ることは決めていたのですが、そのタイミングでちょうどZOZO研究所 福岡の立ち上げの手伝いの話がきました。

ZOZO研究所以外にもお話はあったんですか?

そうですね、今はZOZO以外にも4社ほどに関わっています。世の中で働き方が見直されていますが、そういうロールモデルになれたらな、ということも考えていて。福岡のスタートアップに何かしら還元できたらと思っています。

福岡にZOZO研究所の拠点を作ることになった理由はどういったことでしたか?

一昨年、福岡のカラクルという会社がZOZOグループにジョインしました。そこのスタッフが福岡にいたというのもありますが、何よりも良い研究者、良いエンジニアを採用できるからです。福岡は優秀な学生が多い一方で、受け皿となる就職先が少ないので、働く先として興味を持ってもらえる可能性が大きいだろうと考えました。優秀な人材が確保できること、アジアに向けた展開が進めやすいこと、関東以外で働きたい人が増えていること。様々な事を考え、受け皿を福岡で作れたら面白いな、と思い拠点を構えています。

福岡のオフィスには、福岡出身の方が多いんですか?

福岡に限らず集まっています。福岡には全く馴染みのない人も、興味を持って移住してきてくれます。特に研究開発においては、ZOZOグループが持つ情報資産もあるので、研究方針やアプローチの仕方がある程度決まれば、黙々と集中できることの方が大事で、東京にいる必要性もそんなにありません。

進浩人

若者が集まる天神。今後のテーマは、街の個性をいかに出すか

福岡の中でも天神にオフィスを構えた理由は何かありますか?

博多や中洲も選択肢にはありましたが、最後に残ったのが天神でした。天神に決めてよかったと思うのは、やはりアクセスの良さですね。特にIT系はほぼ天神に集まっているので、勉強会や他の企業との交流が気軽にできる点も魅力だと思います。

博多にもIT企業のオフィスがありますが、天神とはまた違うのでしょうか?

博多にオフィスを構えるIT企業は、自社だけで完結できる大きな会社が多いイメージです。他社との交流がなくても成り立つ規模感というか。また、大人数の従業員を収容できるサイズのオフィスがなかなか天神にはないという現状もあります。天神にちょうど良いサイズ感のスペースがあれば天神を選んだ可能性もあるのではないでしょうか。

なるほど、物理的なスペースの問題もありますね。他に天神と博多の違いは感じられますか?

東京の渋谷と六本木のように大きな差はないと思います。渋谷と六本木では街のカルチャー自体が違いますし、住んでいる人、遊びに来る人たちも違う。福岡で若い人々が多く集まる場所といえば、やはり天神という印象です。天神は「遊び」「ファッション」「飲み」など、カルチャーの面で強い気がします。特にIT系は若い人々が主要客でもあるので、天神の方が少し盛り上がりがあると感じています。

今後、再開発で天神が大きく変わっていこうとしています。この流れについてどう思われますか?

良い悪いということではなく、時代の流れに乗っているのではないでしょうか。ただ、個人的には、少し前の大名で古着を売っていたりとか、そういう街の個性が薄れていくことに対しては寂しさを感じます。今はストロー効果というか、駅周辺などでは個人商店が淘汰されたりもしていて。そういった状況をうまく解決できると街が活性化する気がします。逆にそうしないと、みんな似たような街づくりになってしまう。都市の個性をどう出していくのか、というのは一つのテーマだと思います。

ライバルは米国や中国。「どういう生き方がしたいか」という視点で選ばれる研究所に

ZOZO研究所は、拠点によって役割などの違いはあるのでしょうか?

研究所は東京と福岡の2拠点ありますが、研究所としての大きなミッションは「ファッションを数値化する」というもので、福岡では特に「ファッションの “似合う” を見つける」ということに注力しています。追い求めるものに違いはありませんが、アプローチの仕方が少し異なるので、別々のプロジェクトチームとして研究を進めています。ただ、一部のプロジェクトは2拠点間で連携しているので、必要に応じて協力し合えるような状態になっています。

研究所の拠点を別々の都市に置かれているのは、「働きやすい場所を選べるように」という意味もあるのでしょうか?

「どういう生き方がしたいか」という視点で、働き方の選択ができる場所になりたいと思っています。
福岡は食べ物のおいしさ、物価の安さ、通勤の快適さなど、色々な面で魅力的だと思います。研究所としては、東京だけではなくアメリカや中国もライバルになる。その中でどのように「らしさ」を出していくのか、というのは一つの課題でもありますね。

ZOZO研究所 福岡

子育て世代やシニアにも優しい街づくり、文化的な側面の充実を

進さんご自身は、天神の商業施設などに行かれることはありますか?

たまに行きます。仕事の休憩時間などにランチで行くことが一番多いですね。休日も、外に出て買い物となると天神に行くことがが多いです。仲良くしているお店もあるので。博多には、打ち合わせなどでは行きますが、買い物目的ではあまり行きません。

天神を訪れるときに、「ここが残念」と思われることはありますか?

子どもをベビーカーに乗せて押すときは、道がもっとフラットなほうがいいかな、と思うことはありますね。子育て世代だけでなく、年配の方にも優しい街づくりはもっとできそうな気がします。

「東京の優位性が薄れてきた」と言われる一方で、東京で開催された展覧会が福岡に来ないということも耳にします。
このあたりは、いかがでしょうか?

人口数が少ない福岡では集積効果が圧倒的に足りないので、そこで東京を追い越すのは難しいと思います。そういった理由もあって美術館の展覧会などが福岡まで来ることは少ないですが、文化的な側面がもっと改善されていくといいですよね。

関東と比べて、感性の違いは感じられますか?

そうですね。住んでいるだけで自然と接触する情報量が違うので、そこにも集積の違いは出ていると思います。インターネットでは得られない、そこ
に住んでいるからこそ得られる情報というのもあるのではないでしょうか。

感性を上げていくためにはどういったことが必要になるでしょうか?

教育ではないかと思います。小さい頃からいかに様々なものに接するか。家庭や学校でそういったキーワードがどれだけ出てくるのか。例えば福岡では「スタートアップ」という言葉が浸透していっていると思いますが、小学校の卒業アルバムでなりたい職業を書いたりするときにその言葉が脳の片隅に残っているかどうかって大きいと思います。それを担うのが教育かな、と。

進浩人

天神を、「アジアで面白いところ」「良い研究者が集まる場所」に

進さんご自身は、「活動拠点は福岡に」と思われていますか?

生まれ育った場所ではありますが、福岡に100%こだわっているわけではありません。面白いことがあれば協力したいとは思います。ただ、「北海道か福岡か、どちらで働きたい?」と聞かれたらば、福岡を選びます。

天神に今後こうなってほしい、と思うことはありますか?

「世界、アジアの中で面白いところはどこ?」と聞かれたときに、天神が選ばれるようになってほしいですね。特に、研究とか、カルチャー的な部分で。今後は研究する人たちが主役になっていく時代でもありますから、良い研究者が集まる場所になってほしいです。良い人は良い環境に集まってくる。人が集まるとネットワークも広がる… そういうサイクルができたら理想的ですね。カルチャー、アート、音楽、ファッションなどの分野が有機的に、網羅的に繋がっていく。カルチャーが発展したらビジネスも発展するので、もっと面白くなると思います。

天神が研究者が集まる場所になっていくと、国内でも注目度が増してきそうな気がしてきました。

研究者が働く企業に求めることとして、研究が面白いとか、優秀な研究者と働ける、というものがあると思います。もちろん年収や住みやすさなどの環境も、全部満たせることが大事ですが。今はアメリカが圧倒的に人気ですね。海外の大学で勉強していて、英語が出来ると英語圏に行ってしまう。そういった意味では日本は遅れています。
また、短期思考だと研究は成果を出しづらいので、企業が研究所を作るのは難しい。そういう意味では、経営者のビジョン次第です。自分たちもまだ模索中ですが、ZOZO研究所が一つのロールモデルになれると面白いな、と思っています。

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