フロントランナーインタビュー

INTERVIEW
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株式会社グッドラックスリー 代表取締役社長

井上 和久 さん

福岡市出身。
「ブロックチェーン×エンターテイメントで世界最先端を走る」というビジョンを掲げ、国内初ブロックチェーンゲームの「くりぷ豚」、「クリプトアイドル」、ブロックチェーンアミューズメントプラットフォーム「Rakun」などを手掛ける。
「さわって!ぐでたま」シリーズ 累計400万DL突破。地域発企業ドラマ「人生のメソッド」シリーズは、福岡国際映画祭2018上映作品。前職ドリームインキュベータでは、インターネット・モバイル・コンテンツ分野を統括。

2019年04月22日

アクセス抜群の天神エリアは働く場所として魅力的。今後は変化していくニーズにも対応し、アジアに通用する都市設計のグランドデザインを

福岡の盛り上がりを、まずはアジアへ広げていきたい

もともと福岡出身の井上社長。東京でも活動されていましたが、福岡に戻ってきた経緯はどういったものですか?

中洲で生まれて、大学から東京に13年ほどいました。その後福岡に戻ってきてから、6年ほど経ちました。
戻ってきた動機としては、福岡にはポテンシャルが高いクリエイターが多い割にチャンスがないのでは?と思ったことがあります。

クリエイティブでもエンジニアでも、受託や支店経済というのが長く続いてきたので、自社開発、国内外に向けたアプリや製品開発がそんなにされていないと思ったんです。それが自分にはできるのでは? と感じたのは大きいですね。

支店経済からの脱却というのは、福岡がまさに目指していることでもありますね。

福岡だと、クリエイターたちに方向性を示して引っ張っていく、プロデューサー的な人が少ないです。ただ、ここ5-10年は増えてきているようにも感じますし、福岡の中での盛り上がりというのは今までもあったような気がしています。それが全国やアジアへ広がっていくということについては、まだまだチャレンジできる余地があると思います。

最近は福岡でも、スタートアップ支援や実験的な取り組みが積極的に行われています。外から見ても「福岡が盛り上がっているよね」という肌感はあるのでしょうか?

それはありますね。スタートアップ界隈でいうと、大きいカンファレンスは IVS (Infinity Ventures Summit), B-DASH, ICC (Industry Co-Creation) というものがあります。B-DASH, ICC はそれぞれ年2回のカンファレンスのうち1回は福岡でやると決まっているんです。

僕らの立ち上げた福岡ブロックチェーンコンソーシアムも、日本国内だけから集まってもしょうがない。じゃあ急に全世界かというと、やっぱりまずはアジアというステップがあって。その拠点としては、地政学的にも福岡が良いと思っています。

圧倒的にアクセスしやすく、働きやすい天神エリア

福岡の中でも、天神を拠点に選ばれた理由は何でしょうか?

天神は、雇用にとってプラスの面が多いです。空港線と西鉄大牟田線があるし、バスもバンバン来るので。都市機能と住居機能が一体化しているので、歩いて通うことも可能です。あとは、この都市規模にしては東京に比べて家賃が安い。

やはり、福岡はアクセスがしやすいでしょうか?

そうですね。天神エリアで便利なのは、空港から天神北への都市高速道路。信号をすり抜けてうまくいくと、タクシーで15分で会社に着く。そのアクセスは日本唯一なんじゃないですか?

天神の中でも北エリアを選んだ理由というのはありますか?

ここを主体的に選んだというより、天神エリアで安かったというのが理由です。
スタートアップ的な思いとしては、北エリアの倉庫街のほうまで開発してオフィスを増やさないと、この賃料の高さはきつくなってきていますね。
実際にオフィスを構えてみると、地下鉄を降りて1-2分で地下街の出口から来れるので、ほぼ雨にも濡れずに来れる。バスもあるし、便利ですね。

福岡のアクセスについて課題を感じることはありますか?

福岡空港の国際線までが不便です。国際線直結の駅もないし、空港に着いてバスに乗って国際線ターミナルに移動して… というのがストレス。アジアが近いとは言うけれど、まだ東京に行く感覚で香港に行けるという感覚はありません。

天神に溢れかえる自転車難民。ニーズ起点の根本的な解決を

国際線ターミナル駅があれば、ストレスが格段に減りそうですね。天神にはどんな課題を感じていますか?

天神の一番の課題は、自転車のキャパシティだと思っています。社員からもすごく不満が上がってくるのが、通勤時間には会社周辺の駐輪場がいっぱいになってしまうこと。街整備に力が入れられていて、駐輪場以外の場所に置いたらその日のうちに確実に持っていかれてしまうんですよね。

だから自転車難民はしばらくその辺をうろうろと探すんですが、空いている場所がどこにもない。結局仕方なく停めてはいけない場所にこっそりと停めるしかないという現状があります。特に北エリアに駐輪場が不足していると感じます。

確かに、駐輪場はいつも溢れかえっているイメージがあります。

放置自転車が多いと景観が悪くなるとは思いますが、その防止策として監視員がたくさん配置されていますよね。監視して撤去するというのを繰り返すよりも、まずは駐輪場の確保に注力すべきだと思いますし、今は安易な解決手段に走っているように見えてしまいます。「風邪をひいたから薬を飲む」というのと同じで、本当の課題解決になっていないと思います。

スタートアップ系の方たちは自転車を使うことが多い、といったことはあるんでしょうか?

社内には、自転車を使う人は多いですね。スタートアップ業界でも特に若い人は、多いと思います。

都市機能の新しさを目指すのであれば、車前提で作られた社会よりも、自転車にシフトすると面白くなるんじゃないでしょうか。アジアから来た人の違和感も、「モバイクと電子決済がなんでこんなにないの?」ということで、これはアジアの標準から日本が外れてきているということ。福岡がアジアを意識していくなら、中国と韓国を見たほうがいいと思います。

コストをかけずに様々なことが可能な現代。エンタメ性の高い地域通貨という考え方

日本ではキャッシュレスの普及が大幅に遅れている、という話はよく聞きますね。
キャッシュレス化に対して一般の人たちが抵抗感を持っているようにも感じますが、どう乗り越えていくべきでしょうか?

行政などが導入を後押しをする、ということかもしれません。「〇〇のために導入するなら、補助します」とか、「使ってないと罰金です」とか。それくらいの勢いでやったほうがいい。

今はAndroid1台で可能になっていることが本当にたくさんあって、お金がないというのはあまり理由になりません。地域通貨も同じで、地域振興券を発行、管理するコストが高かったのが、全て電子化してしまうとセキュアなものがすごく安く発行できるようになっています。

地域通貨という考え方については、井上社長はこれまでもご発言されています。今はどんなことを考えられているのでしょうか?

例えば、ライジングゼファーフクオカ (福岡のプロバスケットボールチーム) の試合会場などは、相当バスケ好きでないとそこまで行かないよなあ…ということを考えていて。エンタメにするには、デートやファミリーで行けるアリーナが必要で、その立地も重要なんです。

今のままでは、絶対にスポンサーが集まらない。その打開策がトークンセールスであり、ICO (initial coin offering)。地域通貨やゼファーコインみたいなのを出して「こんなすごいアリーナをここに作ります」というビジョンにお金を集める、という考え方です。で、そのコインの値上がりを期待して持っておいて、取引所で円と交換したり、ゼファーコインを使って入場券を買ったり。まちづくりに地域通貨を使うという発想が面白いと思っています。

仮想通貨は価値が変動していくイメージがありますが、その地域版を作るということでしょうか?

そうです。エンタメ性が高いほど、変動させたほうが盛り上がると考えています。ゼファーを応援するという気持ちだけではなく「このコイン、上がりそう」というのを呼び込むためにも変動させたほうがいいと思っています。
変動すること自体を楽しむというエンタメ性もあって。「今日はゼファーが勝ってコインの価値が上がったからビール1杯飲んどくか」みたいな、そういうのは豊かだと思います。

アジア展開の拠点としての福岡、天神。まずはしっかりとした都市設計のグランドデザインを

なかなか保守的に考えてしまいがちですが、エンタメ性の高い通貨というのも面白い気がしてきました。

「世界進出をしていきたい」と以前おっしゃっていましたが、その拠点は福岡、天神といったことを考えていますか?

海外では、シンガポール拠点でトークンセールスを始めています。福岡、天神でどうかという話よりも、日本という国のルールがどうか、という課題があります。日本だけをビジネスベースにすると、企業成長の障害になるケースも出始めているんです。そんな中で香港やシンガポールは今後拠点になる気がしていて、そうすると、福岡は東京よりも良い拠点といえます。また、一つの拠点に何かを依存させるというビジネスの仕掛け方も変わっていきますから、天神、香港、シンガポールを面でつないでいくようなかんじになるのかな、と。

最後に、天神のまちづくりにはどんな視点を持って取り組むべきでしょうか?

ニーズって、この10年くらいで大きく変わりましたよね。例えば車を持たないことが前提になっていたり、福岡がよりアジアを意識しないといけなくなったり、決済の仕方が変わったり。都市設計って結構時間がかかるものなので、もともとニーズから入って設計したものでも、どんどんずれていってしまう。今こそ何かグランドデザインを作った上で設計に反映させていくべきだと思います。逆に、グランドデザイン無しで「街をきれいにしよう」となると、自転車を片づけて保管所に持って行く、みたいな変な施策になっていくんだろうと思います。

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